2018/04/26
これだけ世の中がIoTだのAIだのと進化してくれば、マーケティング・リサーチの世界も、様々な
新しい手法が開発される時代になりました。
それは大歓迎!新しいことにチャレンジしたいのは、人として自然な発露ですものね。
定性リサーチにも、最近はニューロマーケティングなど、脳科学の立場から消費者心理や消費行動の
仕組みを解明するアプローチが取り入れられているようで、とても面白そうです。
ただ、どんな定性調査でも必ず、対象者に「インタビュー」することが大前提であり、そこではますます、
モデレーターのインタビュースキルとセンスが問われてくることは間違いありません。
スキルはともかく、「センス」というのは一見「非論理的」なものに見えますが、そもそも定性インタビューは
「言語」という論理的な割合よりも「非言語(ノンバーバル)」が占める割合が相当高い。
「汲み取る」「慮(おもんぱか)る」「空気を読む」というようなことは、定型化しにくいので、結局は
「モデレーターのセンスに依る」ところが大きいといえるわけです。
時々、従来からのグループインタビューやデプスインタビューを表現するのに、「伝統的な手法」
という言い方で揶揄する人がいますが、「ではあなたは、その伝統的な手法をきっちり実施することが
できますか?」と問われて、自信をもって「はい!できます」という人はどの位いるのでしょう?
そもそも、そういう人は、本来の定性インタビューの醍醐味であるグループダイナミクスを発生させる
スキルとセンスがないから、「手法」のせいにしてるだけなのでは?と思うことがあります。
きちんと設計された(ここ大事)定性調査は、終わった後に、多くの対象者が「楽しかった!」と言って
帰っていくことが、成功の指標なのです。
(これは私がモデレーター修行時代に読んだアメリカのモデレーターが著書に書いていて、いまでも
その通りだと思っています)
その意味では、難しい解析理論の前に、「対象者ときちんと対話ができる」という、ほんっとに基本的な
ことが、モデレーターには非常に重要な条件だと思われます。
そしてこの基本は、PCだけに向き合って仕事している人には、決して身につかない。
まずは「人と話す~話す~話す」ことでしか、トレーニングは積めないと確信しています。