2015/07/04
ここ10年ほど、リサーチ業界は大きく変化しています。いうまでもなくインターネットの普及がその背景にあります。
そんな中、定性調査(質的調査)の領域は、定量ほど劇的な変化はありませんでしたが、それでも最近は MROCKや
脳科学の手法を用いた生体反応調査など、ニーズの探索に新手法が用いられるようになり、とても興味深い世界が
広がって来ています。
定性調査は「言葉」を介し、それを重視する手法なので、対象者のコミュニケーション能力に依存するところが 大きく、
特に広告やブランドのイメージ評価などについては、リクルート条件が大事です。 ところがそのリクルート条件に、
当該ブランドの使用状況などはこと細かく指示するのに、「表現する力」については指標を設けないケースが多々
見られます。いくらそのブランドを使ってくれていたとしても、その理由を語れない人では、調査に 来ていただいても
意味がないからです。
こういうことは、リクルートを受ける会社の知見とセンスによるところも大きいのですが、何せ、最近のネットによる
リクルートを生業としている会社では、定性調査の分析をしたこともなければ、レポートなど一度も書いたことがない
スタッフで運営されています。したがって、調査課題とマーケティング課題の違いも当然わからないことが多く、
業種や商品だけを意識してリクルートすることになってしまうのでしょう。
そういえば、モデレーターに仕事を発注する際、「○○業界、△△商品のモデレート経験者」という言い方で 仕事を打診
してくる会社がありますが、ある意味ナンセンス。 「○○業界のコミュニケーションをテーマにした経験」とか 「△△商品の
コンセプト探索の経験」を聞いてくるならわかりますが、まあ、そこまで理解してモデレートを依頼するリクルート会社は
少ないです。というか、クライアントの調査テーマについて、事前情報を把握していない場合も結構あります。
もちろん、情報の守秘という側面はありますが、「聞いてもわからない」ことに「聞いてみよう」という発想にはなりません。
(ちなみに、規模の大小は関係ないですね)
で、ハタと気づきました。もしかして、私たちリサーチャーやモデレーターが書くレポートは、一部のリクルート会社の
社員は解読できない??(汗)
実はそんな恐ろしい事実がデフォルトになりつつあるのが、この業界なのですよー。
(リサーチ業界のナイショ話をちょこっと書いちゃいました。。。って、でも大丈夫、上記のような人々は、業界のブログ
なんて興味ないですから)(笑)